オルター部隊の活躍(?)
「礼をいうのはまだ早いぞ。追っ手が来た!!」
背後から女斥候たち――女戦闘員で構成されたオルター部隊の騎乗するエアバイクが追跡してきた。機動力を重視した軽装備の部隊で、俊敏な動きでエアバイクに搭載したバルカン砲により四方から攻撃してくる。
追撃に手間取るブロスとメイル。オルター部隊の女たちが激しく腰をグラインドさせ、旋回。二人を包囲すると、妖艶な笑みを口元に浮かべた。
「撃てーーー!」
次の瞬間、オルター部隊のバルカン砲が一斉に火を吹き、メイルの機体スペリオールラグーンに放たれた。
「あぅうっ!」
メイルは至近距離からの攻撃に機体傷つき、体制が揺らぐ。 「女相手はやりづらいが――ドラゴのオルター部隊だ。ためらいは死に繋がる」
ブロスは意を決したようにメイルを一瞥する。目の前のオルター部隊の女達は美しく、他者を魅了するような豊満な体つきで、男として彼女たちを傷つけるのははばかられる。しかし、ブロスには今、守るものがあった。誰かの為に戦うライダーとして。
竜騎士の槍を手にしたインフェルノは、オルター部隊を渾身の力で薙ぎ払った。
「うああぁぁあっ!」
「あお゛んっ!?」次々とインフェルノが振るう竜騎士の槍に薙ぎ払われていくオルター部隊。
彼女たちは槍が纏う炎に包まれて苦悶する。エアバイクを破壊され、悲鳴を上げながら、豊かな肉体を負傷した者達が夜の海へと落下していく。太陽を身を捧げたオルター(祭壇)部隊の女らしく、その下腹部に込めた魔力によって、ブロスを道連れに爆散しようと機体にせまってくる者もいるが、インフェルノの炎の呪文で遮られる。
(蒼鋼のドラグーン3話 月下の戦い より)