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オリジナル作品|セブンシナーズの紹介

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作品紹介

罪人の更生を目的とする収容施設・監獄街アルカトラズ。そこには、世界各地から様々な罪人が集う。だが、生きてこの街を出られたものは未だおらず、内部の情報はけして出回らない。謎の多い施設であった。

監獄街アルカトラズでの『罪人の更生』とは表向きのお題目であり、この施設の本当の目的は、罪人を使った粛清実験施設だった。政界と関わりを持ち、街を裏から運営する犯罪組織『アウトレイジ』は、罪人たちの食事に様々な薬物を混入させて、秘密裏に罪人を使った人体実験を行っている。データを取り終わると、異形の『グール』と化す強化薬を投与される。粛清実験の際には、街はグールで溢れかえり、グールではない普通の罪人は襲われ、跡形もなく喰われてしまう。

犯罪組織『アウトレイジ』は、この粛清実験をデスゲームに使っている。罪人の生き残りを賭けたビデオが、裏社会で高額で取引されていた。このデスゲーム『セブンシナーズ』を面白くするために、監獄街の罪人七人に、七つの大罪になぞらえた異能力が与えられる。彼らの生死への賭けが、デスゲームを楽しむ者たちの最大の関心となる。

街には、脱獄者を殺戮する、裁きの粛清兵器『ジャッジレイド』がいる。これを撃破して脱獄すれば、罪人側の勝利、罪状も無罪とし、無条件に市政の生活に戻ることができる。

異能の刻印を持った『セブンシナーズ』がゲームで全員死亡。『ジャッジレイド』を破壊できず、脱獄したものもいなかった場合。『ジャッジレイド』が、街に溢れかえったグール達を毒ガスで処理し、罪人の死体をすべて喰らい、罪人を使った粛清実験は終了する。粛清実験はすでに十数回行われており、いまだ脱獄者はゼロだった。

人喰男アリス Ⅰ《暴食》の刻印を持つ罪人

Ⅰ《暴食》の刻印 グラトニー

裏社会を二分する巨大犯罪組織『アウトレイジ《拡散する狂気》』と『カンニバル・コープス《死体喰らいの悪魔》』。イギリス・イーストエンド出身の食人鬼であり、『カンニバル・コープス』の首領である人喰男アリスは、解体暗殺業を請け負う闇医者。臓器売買で巨万の富を得ていた。

監獄街のデスゲーム『セブンシナーズ』で、アリスの部下が何名も死亡しているため、『アウトレイジ』を嫌悪している。裏社会ではよく抗争が勃発していた。ある時、アリスは丁寧な態度で『自首』し、監獄街アルカトラズへの収容を希望。その目的は『アウトレイジ』の壊滅だった。

アリスは刻印のⅠ《暴食》を与えられた罪人。アリスの血液に生息する食人バクテリア《グラトニー》は、大気に触れると生き物のように動き、敵を捕食する。

拷問男グレアム Ⅱ《傲慢》の刻印を持つ罪人

Ⅱ《傲慢》の刻印 ブレイク

フィンランド・ヘルシンキの警察署に勤める特別捜査官のグレアム。真面目で実直な正義漢で、盲目だが、盲導犬のパウエルの助けもあり、鋭い聴覚が役立つ捜査で重宝されている。

グレアムにはトレイシーという双子の姉がいる。幼少時に『アウトレイジ』に暴行され、そのビデオを裏社会で売買されて自暴自棄になり、ビデオの破棄を条件に『アウトレイジ』の工作員になってしまった。当時、臆病だったグレアムは、姉と監禁されていた小屋からひとり逃げてしまい、大好きな姉を見捨ててしまったという自責の念に耐えきれず、自分の弱さを呪い、正義や強さに執着しだす。法で裁けない凶悪犯に対し、私刑を下して回り、それが原因で監獄街に収容された。グレアムは『アウトレイジ』を法で裁き、ビデオも破棄させ、今度こそ姉のトレイシーを救いたいと思っている。

刻印Ⅱ《傲慢》の能力を持つグレアムには、人の急所が切れ目として見える特殊な感覚《ブレイク》がある。巨大な球体拷問人形バヨネットくんを操り、改造バイクのエディを駆る。

牧場娘トレイシー Ⅲ《嫉妬》の刻印を持つ罪人

Ⅲ《嫉妬》の刻印 ジャレス

アメリカ合衆国テキサス州ルッケンバックの牧場で暮らしていたトレイシー。州の開発計画で、トレイシーの牧場を埋め立てたい業者が雇ったゴロツキに嵌められて、トレイシーは弟のジェットとともに冤罪で監獄街に収容されてしまう。

監獄街では、ファミレス『フルメタル・ジャケット』のウエイトレスとして、真面目に働いている。「店長(サー)、あたし、この街を出て牧場を取り返さないと。脱獄を成功させるにはどうすればいいんだろう」「簡単なことだ二等兵よ。刻印持ってる罪人全員と、可能ならば友だちになれ。誰だって、自分の友だちは助けたくなるもんだからな」「友だちかあ」トレイシーは、牛乳配達のかたわら、刻印持ちの罪人を探すのであった。

Ⅲ《嫉妬》の刻印は、自分にない相手の能力を大幅に上昇させる能力《ジャレス》

義賊クライド Ⅳ《強欲》の刻印を持つ罪人

Ⅳ《強欲》の刻印 エレクトリカル・バイオグラム

アメリカ合衆国テキサス州ダラスに生まれたクライドは、幼少時に不治の病にかかり生死をさまよっていた。音楽が大好きで作曲もしていたクライドは、医療効果のある曲を作る。毎日見舞いに来る心配性の幼なじみボニーと、毎日改良を続けるその曲を聴いていた。人体の7割は水なので、音である振動の影響を受け易いというのがクライドの持論で、数年後、クライドは普通の少年と同じくらい元気になっていた。クライドは人の優しさと、音楽と心を、強く信じるようになる。以来ボニーと弱者を助け悪党を懲らしめる義賊的な活動を行っていたが捕まり、監獄街に収容された。

Ⅳ《強欲》の能力は、絶対心電音感。相手の心音が音楽に聞こえる《エレクトリカル・バイオグラム》という感覚を持つ。クライドは相手の心電と引き合う弾丸を作って、一撃で心臓を射抜くスナイパー。困っている人間からの依頼を請け負っている。

暗殺娼婦フィオナ Ⅴ《色欲》の刻印を持つ罪人

Ⅴ《色欲》の刻印 ヴェノム・ルージュ

オランダ・アムステルダムの、風車が美しい街に生まれたフィオナ。早くに母をなくし、軍人の父とは生き別れの状態だった。街の飾窓で仕事をしていた祖母は、フィオナの足の健を切って逃げられなくしてから、客をとらせていた。時折、父から手紙や小包が届く。フィオナは字が読めないので内容は確認できなかったが、フィオナは父からの手紙を、とても大切にしていた。

フィオナのいる飾窓が違法な児童売買を行っているとして、関係者がすべて監獄街送りにされる。フィオナは監獄街の管理者に気に入られ、監獄街の娼館『クメル・ルージュ』で客を取るようになる。管理者は己をパパと呼ぶよう強要したが、フィオナは「違う」と感じていた。フィオナは監獄街を抜け出し、本物の父に会いに行きたいと思うようになる。

Ⅴ《色欲》の刻印は、己の体液を猛毒にする《ヴェノム・ルージュ》。

鬼札マッドジョーカー軍曹 Ⅵ《憤怒》の刻印を持つ罪人

Ⅵ《憤怒》の刻印 マッド・カスタム

ドイツ・ハイデンハイムの城下町に捨て子として生まれる。気のいい住人たちが世話を焼き、無口だが優しい大工の養父に育てられたくましく育つ。将来は養父のように大工になるのもいいと思っていた。だが生まれ育った城下町の雰囲気が好きなカール(MJ軍曹の本名)は、それらを守る軍人になりたいと、今は軍曹の階級に自ら留まり、新兵たちの教育も熱心に行っている。

MJ軍曹の目的は、監獄街の調査。上官の命令で派遣された。MJ軍曹が、監獄街でファミレスをやっているのは、各国から輸入した安全な戦闘糧食を住人に提供し、薬物の混入した食品を食べさせないようにする為だった。店のウエイトレスであるトレイシーと同じ年頃の、生き別れの娘がいるらしい。

Ⅵ《憤怒》の刻印の能力は《マッド・カスタム》。兵器の威力が倍増する戦闘向きの能力

偽装探偵ジェイル Ⅶ《怠惰》の刻印を持つ罪人

Ⅶ《怠惰》の刻印 オルタナティブ

名前のない誰か(ジェイル)という名の男ジェイルは、カメレオンのように他人になりすまして厄介事を請け負う私立探偵だ。今回は、政界の大物から犯罪組織『アウトレイジ』が関与している監獄街アルカトラズの調査を依頼される。

素性の一切が謎の男ジェイルの、Ⅶ《怠惰》の刻印は、完全に他人になる能力《オルタナティブ》。強力な能力を持つ者にでもなれる。そのため、一人で刻印持ちの罪人6人分の能力も扱えるという、反則に近い人物。

だがナルコレプシー症により、場所を選ばず、どこでも眠ってしまう。一度眠ると起きるまでに時間がかかるので、その間は自動運転の武装タクシーに乗って敵を退けたり、安全な座席で爆睡している。探偵らしく鋭い洞察力を発揮することもあるが、基本は陽気で憎めない性格をしており、頼りになるのかならないのかわからないのがジェイルという男だった。

その他の登場人物

メアリ

監獄街の機密と深く関わり、監獄街が取り潰されない理由になっている少女。治癒効果のあるナノマシンが体内におり、涙や血液などの体液が万能ワクチンになる。大気の塵から金属を生成して武器として扱うことができるなど、優れた戦闘力も兼ね備えた希少な生体兵器。胸にある十字の痣にちなんで聖十字《セントクロス》というコードネームで呼ばれている。同じ研究所で作られた、裁きの粛清兵器《ジャッジレイド》と互角に渡り合える存在。

メアリは、自身に苦痛を与え体液を抜き取る、APFの研究施設から脱走する。そこをグレアムとトレイシーに助けられ、『メアリ』という名前をもらい、グレアムのいる保安官事務所に居着いている。他者に情報を漏らさないようにと調整を受け喋れないため、相手の手のひらに文字を綴って話す。グレアムを「お兄ちゃん」、トレイシーを「お姉ちゃん」と呼んで慕っている。

心優しい性格で、街で次々殺されてゆく罪人たちに心をよせ、脱獄を助けようとする。メアリ自身は、街の外では生きられない。メアリの身体には、監獄街からの脱出を感知し自爆するGPSが埋め込まれている。グレアムとトレイシーは、メアリに埋め込まれた装置を無効化するパスコードの存在を知り、APFの研究施設から入手し、メアリを自由にしてやりたいと思っている。

白と黒のゴシックロリータ服に身を包んだ非常に可愛らしい姿で、一見しただけでは凄まじい戦闘力と治癒力を持った生体兵器には見えない。グレアムとトレイシーからもらった、真っ白なうさぎのぬいぐるみ『スノウ』を大事にしている。戦闘面では、そのぬいぐるみにそっくりな、大きなチェンソーを持つ《メタル・スノウ》を生成し、操る。

アウトレイジの精鋭工作部隊『スプートニク』

リーダーの傭兵クドリャフカ。犯罪プランナーのケネス。爆弾犬を飼育するイノ。諜報員のズルキ。暗殺スナイパーのトレイシー(グレアムの双子の姉)が所属する、アウトレイジの精鋭工作部隊。『アウトレイジ』からの命令を受け、粛清実験を監獄街でスムーズに進めるために暗躍する。

(制作2006年~)